縄文人と私達 〜 注26

公開: 2022年9月27日

更新: 2022年11月19日

注26. 沈黙交易

千島アイヌの人々は、島外の人々や、島外に出て戻って来た人々との接触を嫌いました。千島アイヌの人々は、米、塩、酒、綿布などを島外から得るために、特殊な交易法を使っていました。島外から商品を持ってきた人たちは、商品を浜辺に並べて島を離れます。島外の人が居なくなると島民は海岸へ出てきてそれらの物品の品定めをし、必要な商品だけを選んで持ち帰り、それら、持ち帰る物品との交換に見合う自分達の商品、例えばオオワシの尾羽を置いてゆきます。島外から商品を持ち込んだ人々は、浜辺に残された商品と、島民が置いていった交換品を持ち帰ります。このようにして、人が人と接触せずに物々交換をするのが、沈黙交易です。

参考になる読み物

瀬川拓郎 著、「アイヌ学入門」(2015)、講談社 現代新書 106ページ〜109ページ